ひとことで言うと
受け入れの可否は「住所」「医療処置」「退院日」でほぼ決まります。最初の連絡でこの3つを伝えると、断られる場合も早くわかり、次の候補にすぐ進めます。
自宅に退院する患者さんの受け入れ先探しでは、訪問診療・訪問看護・薬局・ケアマネジャーなど、複数の事業所に声をかける必要があります。電話がつながらない、条件が合わずに断られる、を繰り返して時間がかかることも少なくありません。この記事では、在宅チームの顔ぶれと、依頼のときに最初に伝えると話が早い情報をまとめます。
在宅チームの主な顔ぶれ
- 訪問診療(在宅医):定期的な診療と急変時の対応。訪問看護指示書も作成します。
- 訪問看護:医療処置、状態の観察、リハビリ、看取りの支援。
- 薬局(在宅訪問に対応する薬局):お薬の配達、服薬の管理、医療用麻薬や注射薬・輸液への対応。
- ケアマネジャー(居宅介護支援事業所):介護保険サービスのケアプランと、事業所との調整。
- 訪問介護・訪問歯科・福祉用具など:暮らしと、口腔・飲み込みの支援。
介護保険をまだ申請していない方は、退院前に申請を進めておくと、退院直後から介護サービスを使いやすくなります。
依頼のときに最初に伝える情報
- 住所(町名・丁目まで):訪問エリアに入るかの判断に使います
- 病名と経過の概要、今後の見通し(治療を続けるのか、緩和ケアが中心か など)
- 医療処置:在宅酸素、胃ろう・経鼻栄養、中心静脈栄養、尿道カテーテル、褥瘡の処置、吸引、医療用麻薬の使用 など
- 退院予定日と、退院前カンファレンスの予定
- 介護保険の認定の状況と、担当のケアマネジャーがいるか
- 同居のご家族や、主に介護する方の状況
個人情報の扱い
最初の打診では、患者さんの氏名や番地までの住所は伝えず、受け入れが決まってから必要な情報をやりとりすると安全です。
医師のひとこと
前川 裕貴(脳神経内科専門医・頭痛専門医)
受け入れ先の探し直しで一番時間を取られるのは、最初の連絡で条件が伝わっていないことです。住所・医療処置・退院日の3つを最初に伝えるだけで、返事はずっと早くなります。
受け入れ先が見つかりにくいケース
医療用麻薬の注射や中心静脈栄養など、対応できる事業所が限られる医療処置があると、候補が絞られます。薬局も、無菌調剤や麻薬の取り扱いの体制が薬局ごとに違います。急ぐ場合は、条件を満たしそうな事業所に同時に打診し、返事の早いところから調整するのが現実的です。
情報のやりとりで気をつけること
FAXは誤送信の危険があり、送信先の番号の確認が欠かせません。患者さんの情報をやりとりするときは、送る情報を必要な範囲にとどめ、相手と連絡手段を決めておきましょう。
Med-Tasukiの一括依頼
Med-Tasukiの一括依頼では、患者さんの住所(町名まで)と必要な条件を入力すると、近い順に最大10件の施設へまとめて受け入れの相談が送られます。引き受けた施設とはそのままチャットで調整でき、書類はファイルで送れます(72時間で自動的に削除されます)。医療機関・介護事業所の方は無料で登録できます。
監修者のプロフィール

Maekawa Hirotaka
脳神経内科専門医・頭痛専門医
地域医療連携サービス「Med-Tasuki」開発者
脳神経内科専門医・頭痛専門医。東京大学医学部附属病院 脳神経内科で診療に従事したのち、訪問診療を行う荏原ホームケアクリニックで頭痛センター長を務める。在宅医療の現場で、患者さんの受け入れ先を探す連絡が今も電話とFAXに頼っていることに課題を感じ、施設どうしがつながる地域医療連携サービス「Med-Tasuki(メドタスキ)」を自ら開発した。
Med-Tasukiを開発した理由を読む在宅医療は、ひとつの施設だけでは完結しません。顔の見える連携を、もっと速く、もっと気軽に。現場の「困った」を減らすために、医師として、開発者として取り組んでいます。