神経難病:制度とお金

別表7(厚生労働大臣が定める疾病等)とは:対象の病気と訪問看護で変わること

公開|内容の確認:

対象:訪問看護師・ケアマネジャー・病院の MSW・訪問診療医の方

前川 裕貴(脳神経内科専門医・頭痛専門医)

この記事の監修

前川 裕貴

脳神経内科専門医・頭痛専門医

荏原ホームケアクリニック 頭痛センター長

地域医療連携サービス「Med-Tasuki」開発者

日本内科学会 内科専門医日本神経学会 神経内科専門医日本頭痛学会 頭痛専門医難病指定医

Med-Tasuki(メドタスキ)は、監修者が開発した、在宅医療・介護の施設どうしが患者さんの受け入れをチャットで相談できる無料のサービスです。近くの施設へまとめて相談できる一括依頼も使えます。

ひとことで言うと

別表7に当たる方は、要介護認定があっても訪問看護は医療保険になり、週4日以上・1日複数回・複数の訪問看護ステーションの利用ができます。

訪問看護の現場で「別表7」と呼ばれているのは、診療報酬の告示「特掲診療料の施設基準等」の別表第七に並んでいる「厚生労働大臣が定める疾病等」のことです。この一覧に当たるかどうかで、訪問看護が医療保険になるか介護保険になるか、週に何日・1日に何回訪問できるか、何か所の訪問看護ステーションを使えるかが変わります。

この記事では、2026年6月の診療報酬改定にあわせて出された厚生労働省の通知(令和8年3月5日付)で確かめた内容をもとに、別表7の一覧と、該当したときに変わることをまとめます。

別表7に入っている病気と状態

別表7には、次の病気と状態が並んでいます(2026年9月時点)。神経の病気が多くを占めますが、末期の悪性腫瘍や、病名を問わない「人工呼吸器を使用している状態」も入っています。

  • 末期の悪性腫瘍
  • 多発性硬化症
  • 重症筋無力症
  • スモン
  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  • 脊髄小脳変性症
  • ハンチントン病
  • 進行性筋ジストロフィー症
  • パーキンソン病関連疾患:進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上で、生活機能障害度がⅡ度またはⅢ度のものに限る)
  • 多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群)
  • プリオン病
  • 亜急性硬化性全脳炎
  • ライソゾーム病
  • 副腎白質ジストロフィー
  • 脊髄性筋萎縮症
  • 球脊髄性筋萎縮症
  • 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
  • 後天性免疫不全症候群
  • 頸髄損傷
  • 人工呼吸器を使用している状態

パーキンソン病は重症度の条件つき

パーキンソン病は、ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上(姿勢を保つ反射に障害が出てくる段階)で、かつ生活機能障害度がⅡ度(日常生活や通院に部分的な介助が要る)またはⅢ度(日常生活に全面的な介助が要り、一人では歩いたり立ったりできない)のときだけ別表7に当たります。進行性核上性麻痺と大脳皮質基底核変性症には、この条件はありません。

別表7は「指定難病」の一覧とは別のものです。指定難病でも別表7に入っていない病気はたくさんあります。反対に、頸髄損傷や人工呼吸器を使用している状態のように、指定難病かどうかに関係なく当たるものもあります。

別表7に当たると変わる4つのこと

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    要介護認定があっても、訪問看護は医療保険

    要介護・要支援の認定を受けた方の訪問看護は、原則として介護保険で行います。別表7に当たる方は例外で、医療保険の訪問看護になります。訪問介護や通所サービスなど、訪問看護以外のサービスは介護保険で使います。

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    週4日以上の訪問ができる

    医療保険の訪問看護は、原則として1人週3日までです。別表7に当たる方は、週4日以上の訪問ができます。

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    1日に2回、3回以上の訪問ができる

    必要に応じて1日に2回、または3回以上訪問したときは、「難病等複数回訪問加算」を算定します。

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    複数の訪問看護ステーションを使える

    原則は1か所ですが、別表7に当たる方は2か所まで使えます。週7日の訪問看護が計画されている間は、3か所まで使えます。

このほか、一人の看護師等では訪問が難しい方に複数名で訪問したときの「複数名訪問看護加算」の対象になることや、入院中に在宅療養に備えて外泊するときの訪問看護を入院中2回まで受けられることなども、別表7の方に関係する決まりです(いずれも2026年9月時点)。

複数の訪問看護ステーションを使うときの決まり

1日に何度も訪問が必要な方や、毎日の訪問が必要な方では、1か所のステーションだけでは人手や時間帯が足りないことがあります。別表7の方が複数のステーションを使うときは、次の点を押さえておきます。

  • 使えるのは2か所まで。3か所目は、週7日の訪問看護が計画されている期間に限られます
  • 原則として、同じ日に2か所のステーションがそれぞれ訪問看護の費用を算定することはできません。曜日や週で担当を分けるのが基本です
  • 例外として、定期の訪問をしたステーションとは別のステーションが、同じ日に緊急の訪問をした場合は、緊急訪問看護加算だけを算定できます
  • どのステーションも、主治医の訪問看護指示書にもとづいて訪問します。計画・記録・報告をステーション間で共有し、担当曜日や緊急時の連絡先を家族にも分かる形にしておきます

緩和ケアなどの専門の看護師の訪問は別枠

緩和ケア、褥瘡ケア、人工肛門・人工膀胱ケアの専門の研修を受けた看護師による訪問は、ステーションの数の数え方から除かれるなど、別の決まりがあります。詳しくは算定の通知で確認してください。

別表8・特別訪問看護指示書との違い

訪問看護の決まりには、別表7とよく似た「別表8」と「特別訪問看護指示書」があります。混同しやすいので、違いを整理しておきます。

  • 別表8:特別な管理が必要な状態の一覧です。在宅気管切開患者指導管理を受けている、気管カニューレや留置カテーテルを使っている、在宅酸素療法・在宅人工呼吸・在宅中心静脈栄養法・在宅成分栄養経管栄養法などの指導管理を受けている、人工肛門・人工膀胱がある、真皮を越える褥瘡がある、などが当たります
  • 別表8の方も、医療保険の訪問看護を受けている場合は、週4日以上・1日複数回・2か所のステーションの利用ができます
  • ただし、要介護・要支援の認定を受けた方の訪問看護を医療保険にする例外は別表7だけです。別表8だけに当たる方は、認定があれば訪問看護は介護保険が原則です
  • 特別訪問看護指示書:急に状態が悪くなったときなどに、主治医が一時的に頻回の訪問看護が必要と判断して出す指示書です。交付の日から14日以内に限り、医療保険で訪問できます。原則月1回、気管カニューレを使っている方と真皮を越える褥瘡のある方は月2回まで交付できます

現場での確かめ方

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    病名と状態を確かめる

    主治医の訪問看護指示書や診療情報提供書で、病名を確認します。パーキンソン病の方は、ホーエン・ヤールの重症度と生活機能障害度も確認します。人工呼吸器を使っているかどうかも別表7の判断に関わります。

  2. 2

    介護保険の認定を確かめる

    別表7に当たれば、認定の有無にかかわらず訪問看護は医療保険です。当たらない場合は、認定があれば介護保険、なければ医療保険が基本です。

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    必要な訪問の量を見積もる

    週の訪問日数、1日の回数、夜間や早朝の対応が必要かを、家族の介護の状況とあわせて見積もります。

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    足りなければ2か所目を探す

    1か所で対応しきれないときは、2か所目のステーションを早めに探し、担当の曜日や時間帯を分けます。

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    チームで共有する

    主治医・ケアマネジャー・各ステーションで、保険の種類、訪問の予定、緊急時の連絡先を共有します。医療保険の訪問看護もケアプランに位置づけておくと、全体の予定が見えやすくなります。

医療保険の回数で足りないとき(東京都)

東京都には、人工呼吸器を使って在宅療養している難病の方が、医療保険で定める回数を超えて1日に複数回の訪問看護を受けられるようにする「在宅人工呼吸器使用難病患者訪問看護事業」があります。難病医療費等助成の対象の病気で人工呼吸器を使い、主治医が診療報酬の回数を超える訪問看護が必要と認めた方が対象です。

また、介護する家族が病気や休息のために一時的に介護できないとき、人工呼吸器を使う方の自宅に看護人を派遣する「難病患者在宅レスパイト事業」もあります。問い合わせ先は、特別区・八王子市・町田市にお住まいの方は保健所・保健センター等、それ以外の多摩・島しょ地域の方は都の保健所です(レスパイト事業の申し込みは東京都訪問看護ステーション協会)。

2か所目のステーション探しに

別表7の方は、1日複数回や毎日の訪問、人工呼吸器の管理など、受けられる事業所が限られる条件が重なりがちです。Med-Tasukiの一括依頼を使うと、患者さんの住所(町名まで)と条件を入れて、近くの訪問看護ステーションへまとめて相談できます。

参考にした情報

監修者のプロフィール

前川 裕貴(脳神経内科専門医・頭痛専門医)
前川 裕貴

Maekawa Hirotaka

脳神経内科専門医・頭痛専門医

地域医療連携サービス「Med-Tasuki」開発者

日本内科学会 内科専門医日本神経学会 神経内科専門医日本頭痛学会 頭痛専門医難病指定医

脳神経内科専門医・頭痛専門医。東京大学医学部附属病院 脳神経内科で診療に従事したのち、訪問診療を行う荏原ホームケアクリニックで頭痛センター長を務める。在宅医療の現場で、患者さんの受け入れ先を探す連絡が今も電話とFAXに頼っていることに課題を感じ、施設どうしがつながる地域医療連携サービス「Med-Tasuki(メドタスキ)」を自ら開発した。

2012〜2018年順天堂大学 医学部 医学科
2018〜2020年東京逓信病院 初期臨床研修
2020〜2023年東京大学医学部附属病院 脳神経内科 特任臨床医
2023年〜埼玉精神神経センター 頭痛専門外来
荏原ホームケアクリニック 頭痛センター長
昭和医科大学 脳神経内科 客員講師
2025年〜株式会社Iris Wellness設立

在宅医療は、ひとつの施設だけでは完結しません。顔の見える連携を、もっと速く、もっと気軽に。現場の「困った」を減らすために、医師として、開発者として取り組んでいます。

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監修:前川 裕貴脳神経内科専門医・頭痛専門医)/この記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療を行うものではありません。受け入れの状況や費用は各施設に、治療の判断は主治医にご相談ください。