在宅医療の基本

在宅療養支援診療所・在支病とは:機能強化型との違い

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対象:ケアマネジャー・病院の MSW・退院支援看護師の方

前川 裕貴(脳神経内科専門医・頭痛専門医)

この記事の監修

前川 裕貴

脳神経内科専門医・頭痛専門医

荏原ホームケアクリニック 頭痛センター長

地域医療連携サービス「Med-Tasuki」開発者

日本内科学会 内科専門医日本神経学会 神経内科専門医日本頭痛学会 頭痛専門医難病指定医

Med-Tasuki(メドタスキ)は、監修者が開発した、在宅医療・介護の施設どうしが患者さんの受け入れをチャットで相談できる無料のサービスです。近くの施設へまとめて相談できる一括依頼も使えます。

ひとことで言うと

在宅療養支援診療所(在支診)は、24時間連絡が取れ、必要なら往診や訪問看護を手配できる体制を届け出た診療所です。機能強化型はさらに医師の人数や看取りの実績の条件を満たしたところです。

訪問診療をしている診療所の案内に「在宅療養支援診療所」「機能強化型」と書かれていることがあります。受け入れ先を選ぶときにこの言葉が何を意味するのか、どこまで気にすればよいのかをまとめます。

01在宅療養支援診療所(在支診)とは

在宅療養支援診療所は、在宅医療を担う診療所として、次のような体制を地方厚生局に届け出た診療所です。略して「在支診」と呼ばれます。病院が同じ役割を担う場合は「在宅療養支援病院(在支病)」です。

  • 24時間、患者さんやご家族から連絡を受けられる(担当者と連絡先を文書で渡す)
  • 24時間、往診ができる体制がある(他の医療機関と協力する形でもよい)
  • 24時間、訪問看護を提供できる体制がある(訪問看護ステーションとの連携でもよい)
  • 緊急時に入院できる病床を確保している(他の病院との連携でもよい)
  • 連携する医療機関・訪問看護ステーションに、患者さんの情報を渡している
  • 在宅での看取りの数などを毎年報告している

つまり、在支診は「夜間や休日に何かあっても連絡が取れ、必要なら誰かが動ける」体制を約束した診療所です。在支診でない診療所も訪問診療はできますが、24時間の体制は診療所ごとに違います。

02機能強化型とは

在支診・在支病のうち、在宅医療の実績と体制がさらに厚いところが「機能強化型」です。1つの医療機関だけで条件を満たす「単独型」と、複数の医療機関が連携して条件を満たす「連携型」があります。

在支診の種類(2026年9月時点の主な条件)
在支診機能強化型(単独型)機能強化型(連携型)
24時間の連絡・往診・訪問看護の体制必要必要必要
在宅医療を担当する常勤医師決まりなし3人以上連携全体で3人以上
過去1年の緊急往診報告のみ一定数以上連携全体と各医療機関で一定数以上
過去1年の在宅看取り報告のみ一定数以上連携全体と各医療機関で一定数以上

緊急往診・看取りの必要数は診療報酬の告示で決まっており、改定で変わります。数字は厚生労働省の資料で確認してください。

機能強化型は、常勤医師が複数いるため、担当医が休みの日も同じ診療所の別の医師が往診できることが多く、看取りまで自宅で過ごしたい方の受け皿になりやすい形です。連携型は、小さな診療所どうしが夜間・休日を分担して、同じ体制をつくります。

前川 裕貴
医師のひとこと前川 裕貴脳神経内科専門医・頭痛専門医
機能強化型かどうかは、ご家族に「夜中に何かあったら誰が来てくれるのか」を説明するときの目安になります。ただ、体制の名前よりも、その診療所が実際にどう連絡を受け、どう動いているかを最初の相談で聞いてもらうほうが、患者さんには役に立ちます。

03患者さんにとって何が違うか

24時間

連絡先がある

在支診・在支病の共通の条件

複数の医師

機能強化型

担当医不在でも往診しやすい

同じ

診療の内容

在支診でなくても訪問診療はできる

  • 費用:在支診・機能強化型のほうが、月ごとの管理料が高く設定されています。その分、24時間の体制への費用が含まれています。金額は診療所に確認してください。
  • 看取り:在宅で最期まで過ごす希望がある方は、看取りの実績がある在支診・機能強化型を選ぶと安心です。
  • 安定している方:状態が落ち着いていて、急な変化が少ない方は、在支診でない診療所でも十分なことがあります。
  • 施設に入っている方:施設が提携している診療所が在支診かどうかは、施設に確認します。

04在支診でない診療所に頼むときの考え方

在宅療養支援診療所の届出をしていない診療所でも、訪問診療は行えます。近所のかかりつけ医が長年の関係の中で訪問してくれる形は、ご本人にとって安心なことも多いです。違いは「夜間・休日の体制が約束されているか」で、ここをどう補うかを最初に決めておけば、在支診でなくても在宅療養は成り立ちます。

  • 夜間・休日の連絡先:診療所につながらない時間帯は、訪問看護ステーション(24時間対応のところ)が最初の窓口になる形が多いです。
  • 緊急時の入院先:かかりつけ医が連携している病院、または以前かかっていた病院を決めておきます。
  • 看取り:在宅で最期まで過ごす希望がある場合、夜間に医師が来られるかを率直に確かめます。難しければ、看取りの時期だけ在支診に引き継ぐ相談もできます。
  • 訪問看護の指示書:どの診療所でも書けます。在支診かどうかは関係ありません。

05よくある質問

  • 在支診かどうかはどこで調べられる?:診療所の案内・ホームページのほか、地方厚生局が公開している「施設基準の届出受理状況」で確かめられます。Med-Tasuki の施設ページで「24時間対応」「看取り対応」を掲げている診療所は、直接聞くと早いです。
  • 機能強化型のほうが必ずよい?:体制は厚いですが、相性や対応エリア、専門(緩和ケア・認知症・小児など)のほうが患者さんには大事なこともあります。
  • 在支病(病院)に訪問診療を頼めるの?:在宅療養支援病院は、訪問診療も行い、緊急時の入院も同じ病院で受けられるのが強みです。地域によっては数が少ないので、対応エリアを確かめます。

06地域の在支診の見つけ方

  • 地方厚生局の「施設基準の届出受理状況」:在宅療養支援診療所・機能強化型の届出をしている医療機関が一覧で公開されています。地域名で探せます。
  • 医師会の在宅医療の相談窓口:地域の医師会が、訪問診療をしている診療所の一覧や紹介の窓口を持っていることがあります。品川区では2つの医師会に紹介窓口があります。
  • 病院の地域連携室:退院支援でよく連携している在支診を知っています。
  • Med-Tasuki の施設ページ:24時間対応・看取り対応などの対応内容と、登録している診療所の紹介文で、体制を確かめられます。

07受け入れ先を選ぶときの見方

診療所に確かめること

  • 在支診・在支病か、機能強化型か(診療所の案内や地方厚生局の届出一覧で確認できる)
  • 夜間・休日の連絡先は誰につながるか(医師本人・当番医・コールセンター)
  • 往診に来るのは担当医か、別の医師か
  • 連携している訪問看護ステーション・薬局・病院
  • 看取りに対応しているか
  • 対応できる医療処置(在宅酸素・人工呼吸器・中心静脈栄養・医療用麻薬 など)
どの診療所を選ぶか
  1. Q1.自宅での看取りを希望している、または病状の変化が急に起きやすい
    はい
    看取りの実績がある在支診・機能強化型を優先する
    いいえ
  2. Q2.医療処置が多い(人工呼吸器・中心静脈栄養・医療用麻薬 など)
    はい
    その処置に対応できると明記している在支診を選ぶ
    いいえ
  3. Q3.状態は安定していて、日常の管理が中心
    はい
    対応エリアと相性で選んでよい(在支診でなくても可)
    いいえ
複数の診療所に同時に相談し、返事の内容と早さで決める
前川 裕貴
医師のひとこと前川 裕貴脳神経内科専門医・頭痛専門医
受け入れる側から見ると、依頼のときに「看取りまでお願いしたいのか」「病院への搬送を望むのか」が最初にわかると、自分の診療所で担えるかを正直にお答えできます。合わない場合に早く別の候補へつなげることも、患者さんのためになります。

08受け入れ先の探し方

Med-Tasuki(メドタスキ)では、訪問診療クリニックを地域ごとに探し、24時間対応・看取りの対応・医療処置で絞り込めます。医療機関・介護事業所の方は、一括依頼で近くの診療所にまとめて受け入れを相談できます。

参考にした情報

監修者のプロフィール

前川 裕貴(脳神経内科専門医・頭痛専門医)
前川 裕貴

Maekawa Hirotaka

脳神経内科専門医・頭痛専門医

地域医療連携サービス「Med-Tasuki」開発者

日本内科学会 内科専門医日本神経学会 神経内科専門医日本頭痛学会 頭痛専門医難病指定医

脳神経内科専門医・頭痛専門医。東京大学医学部附属病院 脳神経内科で診療に従事したのち、訪問診療を行う荏原ホームケアクリニックで頭痛センター長を務める。在宅医療の現場で、患者さんの受け入れ先を探す連絡が今も電話とFAXに頼っていることに課題を感じ、施設どうしがつながる地域医療連携サービス「Med-Tasuki(メドタスキ)」を自ら開発した。

2012〜2018年順天堂大学 医学部 医学科
2018〜2020年東京逓信病院 初期臨床研修
2020〜2023年東京大学医学部附属病院 脳神経内科 特任臨床医
2023年〜埼玉精神神経センター 頭痛専門外来
荏原ホームケアクリニック 頭痛センター長
昭和医科大学 脳神経内科 客員講師
2025年〜株式会社Iris Wellness設立

在宅医療は、ひとつの施設だけでは完結しません。顔の見える連携を、もっと速く、もっと気軽に。現場の「困った」を減らすために、医師として、開発者として取り組んでいます。

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監修:前川 裕貴脳神経内科専門医・頭痛専門医)/この記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療を行うものではありません。受け入れの状況や費用は各施設に、治療の判断は主治医にご相談ください。