ひとことで言うと
医療保険の訪問看護は原則「週3日まで・1日1回・1か所」です。末期がんや神経難病(別表7)、医療処置が多い方(別表8)、特別訪問看護指示書の期間は、この制限が外れます。介護保険はケアプランの範囲で決めます。
「訪問看護は週3回までしか入れない」と聞くことがあります。これは医療保険の原則で、例外も多く、介護保険では別の決まりです。頻回の訪問を組むときに迷わないよう、回数・時間・事業所の数の決まりを整理します。
01医療保険の訪問看護の原則
週3日
原則の上限
1週間に3日まで
1日1回
原則
1日に何度も行くには条件が要る
1か所
訪問看護ステーション
原則1つのステーションだけ
30〜90分
1回の時間
長時間の加算には条件
医療保険の訪問看護は、原則として週3日まで、1日1回、1つの訪問看護ステーションから行います。これを超えて訪問するには、病気や状態が決まった条件に当てはまる必要があります。
02制限が外れる3つの場合
| 場合 | 内容 | 期間 |
|---|---|---|
| 別表7の病気 | 末期がん、ALS・多系統萎縮症などの神経難病、人工呼吸器を使う方 など | 該当している間ずっと |
| 別表8の状態 | 在宅酸素、気管カニューレ、留置カテーテル、中心静脈栄養、真皮を越える褥瘡 など | 該当している間ずっと |
| 特別訪問看護指示書 | 急に病状が悪くなり頻回の訪問が必要になったとき | 14日間(原則月1回) |
別表7・別表8のどちらかに当てはまると、週4日以上・1日2〜3回以上(難病等複数回訪問加算)・ステーション2か所(週7日の訪問を計画する場合は3か所)が可能になります。
- Q1.別表7の病気に当てはまるはい医療保険で週4日以上・複数回・2〜3か所が可能いいえ
- Q2.別表8の医療処置・状態に当てはまるはい医療保険で週4日以上・複数回・2〜3か所が可能いいえ
- Q3.一時的な悪化で、2週間ほど頻回に入りたいはい主治医に特別訪問看護指示書を相談(14日間)いいえ
- Q4.介護保険の認定がある(上のどれにも当てはまらない)はい介護保険で、ケアプランと限度額の範囲で回数を決めるいいえ

「週3日の壁」で困っている訪問看護師さんの相談を受けたとき、私はまず別表7・別表8に当てはまる病名や処置がないかを一緒に確かめます。褥瘡の深さや在宅酸素の有無など、指示書に書いてあるかどうかで使える回数が変わることがあります。
031日に2回・3回以上行く場合
別表7・別表8に当てはまる方、または特別訪問看護指示書の期間中は、1日に2回、3回以上の訪問ができます(難病等複数回訪問加算)。終末期で状態が刻々と変わる方、吸引が頻回な方、点滴を朝夕に行う方などで使います。回数を増やすときは、主治医の指示書にその旨が書かれていることを確かめます。
1日に何度も入る訪問は、1つのステーションで担いきれないことがあります。その場合は2か所(週7日の訪問を計画する場合は3か所)のステーションで分担できます。分担するときは、報告書の宛先・急変時の連絡順・記録の共有の仕方を最初に決めておきます。
04介護保険の訪問看護の回数と時間
介護保険の訪問看護には「週何日まで」という決まりはなく、ケアプランで必要な回数を決めます。ただし、要介護度ごとの支給限度額の中に収める必要があるので、訪問介護や通所との兼ね合いで回数が決まります。
| 区分 | 主な使い方 |
|---|---|
| 20分未満 | 短時間の処置や確認(週に他の訪問看護がある方) |
| 30分未満 | 状態の観察、内服の確認、簡単な処置 |
| 30分以上60分未満 | 一般的な訪問。清潔ケア・処置・リハビリ |
| 60分以上90分未満 | 処置が多い方、入浴介助を伴う場合 |
訪問看護ステーションのリハビリ職(理学療法士など)の訪問は、1回20分を単位に数えます。
限度額を超えそうなとき
介護保険の限度額を超えた分は全額自己負担です。医療の必要性が高い方は、別表7・別表8に当てはまれば医療保険に切り替わって限度額の枠を使わなくなります。ケアプランを組む前に、主治医と訪問看護ステーションに「医療保険で行う条件に当てはまらないか」を確かめると、無理のない計画になります。
05頻回訪問を組むときの実務
週4日以上・複数回の訪問を組む前に
- 指示書に別表7の病名、または別表8の処置・状態が書かれているか
- 特別訪問看護指示書を使う場合、開始日と14日目の日付
- 複数のステーションが入るとき、それぞれの指示書と役割分担
- 報告書の送り先と、夜間・休日の連絡の順番
- ご本人・ご家族への費用の説明(医療保険に切り替わる場合は自己負担の計算が変わる)
- 状態が落ち着いたら通常の回数に戻す時期の目安

頻回の訪問は、看護師さんの負担も大きい計画です。「いつまで頻回にするか」「どうなったら減らすか」を最初に決めておくと、ご家族も見通しを持てますし、ステーションも人のやりくりをしやすくなります。指示書を出すときにその目安も書くようにしています。
06よくある質問
- 医療保険で週3日を超えたらどうなる?:条件に当てはまらない訪問は費用を請求できません。訪問看護ステーションの持ち出しになるので、事前に主治医と確かめます。
- 介護保険で毎日入れる?:ケアプランと限度額の範囲であれば、毎日の訪問看護も組めます。ただし、限度額の多くを訪問看護が占めるので、訪問介護や通所とのバランスを見ます。
- リハビリだけの訪問も週3日まで?:医療保険では、理学療法士などの訪問も訪問看護の回数に数えます。
- 2つのステーションを使う条件は?:医療保険では別表7・別表8・特別指示書の期間など、週4日以上の訪問が認められる場合に2か所(週7日の計画なら3か所)まで使えます。介護保険では、必要があれば複数のステーションを使えます。
- 長時間(90分を超える)の訪問はできる?:医療保険では、別表8に当てはまる方などに「長時間訪問看護加算」で90分を超える訪問ができます。回数の決まりがあるので、ステーションに確かめます。
07週の予定表で見る組み方の例
回数の決まりは、実際には「週の予定表」に落として初めて意味がわかります。例えば、末期がん(別表7)で医療保険の方が、日中の処置と夜間の状態確認を必要とする場合、A ステーションが月・水・金の午前、B ステーションが火・木・土の午前と毎日夕方、という分担にすると、週7日の訪問を2か所で組めます。介護保険の方が特別指示書で一時的に頻回に入る場合は、14日間だけ予定表を差し替え、終わる日を予定表に書いておきます。
予定表には、訪問看護のほかに訪問診療・訪問介護・通所・薬局の配達も書き込み、同じ時間に2つの事業所が重ならないようにします。ケアマネジャーが予定表を作り、各事業所に配ると、行き違いが減ります。
08受け入れ先の探し方
頻回の訪問や夜間の対応が必要な方は、受けられるステーションが限られます。Med-Tasuki(メドタスキ)の一括依頼では、住所と条件を入れて近くのステーションにまとめて相談でき、分担の組み方も含めて調整できます。
参考にした情報
監修者のプロフィール

Maekawa Hirotaka
脳神経内科専門医・頭痛専門医
地域医療連携サービス「Med-Tasuki」開発者
脳神経内科専門医・頭痛専門医。東京大学医学部附属病院 脳神経内科で診療に従事したのち、訪問診療を行う荏原ホームケアクリニックで頭痛センター長を務める。在宅医療の現場で、患者さんの受け入れ先を探す連絡が今も電話とFAXに頼っていることに課題を感じ、施設どうしがつながる地域医療連携サービス「Med-Tasuki(メドタスキ)」を自ら開発した。
Med-Tasukiを開発した理由を読む在宅医療は、ひとつの施設だけでは完結しません。顔の見える連携を、もっと速く、もっと気軽に。現場の「困った」を減らすために、医師として、開発者として取り組んでいます。