介護保険と制度

小規模多機能と看護小規模多機能(看多機)の使いどころ

公開|内容の確認:

対象:ケアマネジャー・病院の MSW・訪問看護師の方、ご家族

前川 裕貴(脳神経内科専門医・頭痛専門医)

この記事の監修

前川 裕貴

脳神経内科専門医・頭痛専門医

荏原ホームケアクリニック 頭痛センター長

地域医療連携サービス「Med-Tasuki」開発者

日本内科学会 内科専門医日本神経学会 神経内科専門医日本頭痛学会 頭痛専門医難病指定医

Med-Tasuki(メドタスキ)は、監修者が開発した、在宅医療・介護の施設どうしが患者さんの受け入れをチャットで相談できる無料のサービスです。近くの施設へまとめて相談できる一括依頼も使えます。

ひとことで言うと

小規模多機能型居宅介護は「通い・訪問・泊まり」を1つの事業所が月額の定額で組み合わせるサービスです。看護小規模多機能型(看多機)はこれに訪問看護が加わり、医療処置のある方や退院直後の方を支えられます。ケアマネジャーも事業所のケアマネに替わる点が、使うときの大きな違いです。

「通いも訪問も泊まりも、同じ顔なじみの職員で」というのが小規模多機能型居宅介護の考え方です。訪問看護が加わった看護小規模多機能型(看多機)は、医療処置のある方の在宅を支える受け皿として増えています。仕組みと使いどころ、使うときに変わることをまとめます。

01小規模多機能と看多機の仕組み

小規模多機能型居宅介護と看護小規模多機能型居宅介護(2026年9月時点)
小規模多機能型居宅介護看護小規模多機能型居宅介護(看多機)
サービス通い・訪問(介護)・泊まり通い・訪問(介護)・泊まり+訪問看護
対象要支援1〜要介護5要介護1〜5
費用要介護度ごとの月額の定額(回数で変わらない)要介護度ごとの月額の定額(回数で変わらない)
ケアマネジャー事業所のケアマネジャーに替わる事業所のケアマネジャーに替わる
定員の目安登録29人以下。通い1日15人程度、泊まり9人程度同じ
向いている方認知症で環境の変化が苦手、介護者の都合で通いと泊まりを柔軟に使いたい医療処置がある、退院直後、看取りを在宅で、状態が変わりやすい

看多機は訪問看護ステーションが母体のことが多く、看護師が通いや泊まりの場にもいます。

定額

月ごとの費用

通い・訪問・泊まりを何回使っても

同じ職員

通いも訪問も泊まりも

認知症の方が安心しやすい

ケアマネが替わる

登録すると

今のケアマネとの契約は終わる

前川 裕貴
医師のひとこと前川 裕貴(脳神経内科専門医・頭痛専門医)
医療処置があって、ご家族の介護の負担も大きい患者さんに、私は看多機を勧めることがあります。訪問看護と泊まりが同じ事業所で、看護師が状態を把握しているので、「今週は泊まりで様子を見ましょう」といった判断がその場でできます。在宅と施設の間の柔軟さが、看多機の強みです。

02向いている方・向いていない方

小規模多機能・看多機を検討するか
  1. Q1.医療処置(胃ろう・吸引・カテーテル・褥瘡・点滴など)があり、介護者の負担が大きい
    はい
    看多機を検討する
    いいえ
  2. Q2.退院直後で状態が不安定。在宅で看取りも視野に
    はい
    看多機を検討する(訪問看護と泊まりを組み合わせられる)
    いいえ
  3. Q3.認知症で、通所や泊まりの場所が変わると混乱する
    はい
    小規模多機能を検討する(同じ職員・同じ場所)
    いいえ
  4. Q4.介護者の仕事や体調で、通いと泊まりの日数を月ごとに変えたい
    はい
    小規模多機能・看多機を検討する(定額で柔軟に組める)
    いいえ
今の訪問介護・通所・訪問看護の組み合わせを続ける
  • 向いていない場合:毎日決まった通所に通いたい、今のケアマネジャーや訪問介護を変えたくない、泊まりを使う予定がない、といった方は、定額で割高になることがあります。
  • 定員の制約:登録の定員があり、通いと泊まりの1日の人数にも上限があるので、希望する日に泊まれないことがあります。
  • 併用できないサービス:小規模多機能・看多機に登録すると、訪問介護・通所介護・通所リハ・ショートステイ(短期入所生活介護)・訪問看護(看多機の場合)など、多くの居宅サービスが使えなくなります。使えるのは、訪問診療・居宅療養管理指導・福祉用具貸与・住宅改修・訪問リハビリなど一部です。

ケアマネジャーが替わる

登録すると、ケアプランは事業所のケアマネジャーが作り、それまでの居宅介護支援事業所との契約は終わります。長く関わってきたケアマネジャーと離れることをご本人・ご家族が受け入れられるか、事前に確かめます。使うのをやめれば、再び居宅介護支援事業所と契約できます。

03使うまでの流れ

  1. 1

    事業所を探す

    対応エリア(訪問できる範囲)、登録の空き、看多機なら対応できる医療処置、看取りの実績を確かめます。

  2. 2

    見学と相談

    通いの場の雰囲気、泊まりの部屋、職員の人数、夜間の体制を見ます。ご本人も一緒に見学すると安心につながります。

  3. 3

    今のケアマネジャーに相談

    登録するとケアマネジャーが替わることを伝え、引き継ぎをお願いします。今のケアマネジャーから事業所に情報を渡してもらいます。

  4. 4

    登録と計画

    事業所のケアマネジャーが、通い・訪問・泊まり(看多機は訪問看護も)の組み合わせを計画します。医師の訪問看護指示書が要ります(看多機)。

  5. 5

    使いながら調整

    月ごとに通いと泊まりの日数を変えられます。状態や家族の都合に合わせて、事業所のケアマネジャーと相談します。

事業所に確かめること

  • 訪問できるエリアと、通いの送迎の範囲
  • 登録の空き。泊まりの部屋の空き具合
  • 看多機の場合:対応できる医療処置(吸引・胃ろう・点滴・麻薬・褥瘡など)
  • 夜間の職員の体制(泊まりのとき看護師はいるか)
  • 看取りの実績と方針
  • 主治医(訪問診療)との連携の仕方
  • 費用(定額のほかに、食費・宿泊費・おむつ代などの実費)
前川 裕貴
医師のひとこと前川 裕貴(脳神経内科専門医・頭痛専門医)
看多機を使う患者さんの訪問診療では、事業所の看護師さんと直接やりとりできるのが助かります。泊まりの夜に熱が出たとき、看護師さんの判断で私に連絡が来て、翌朝には往診で対応できる。訪問介護と訪問看護と泊まりが別々の事業所だと、この速さは出ません。

04よくある質問

  • 費用は月いくら?:要介護度ごとの定額(自己負担1〜3割)に、食費・宿泊費・おむつ代などの実費が加わります。金額は事業所に確かめます。
  • 泊まりは何日でも使える?:定員の範囲で、計画に沿って使います。毎日泊まり続ける形は想定されていません。
  • 訪問診療は続けられる?:続けられます。訪問診療・居宅療養管理指導は併用できます。看多機の訪問看護指示書は訪問診療医が書きます。
  • 要支援でも使える?:小規模多機能は要支援1から使えます(介護予防小規模多機能型居宅介護)。看多機は要介護1以上です。
  • 住んでいる市区町村以外の事業所は使える?:地域密着型サービスなので、原則として住んでいる市区町村の事業所を使います。

05使い方の例

看多機の1週間の使い方の例(要介護3・胃ろうあり・介護者は日中仕事)
曜日使い方
月・水・金通い(日中)。看護師が胃ろうの管理と入浴
火・木訪問(朝)で胃ろうの注入の確認。訪問看護で状態の観察
土通い。介護者の休息
日自宅。家族が介護。緊急時は事業所に連絡
月1回2泊の泊まり。介護者の通院や用事に

月ごとに通いと泊まりの日数を変えられます。介護者の状況や本人の状態に合わせて、事業所のケアマネジャーと相談します。

こうした組み合わせを、訪問介護・通所・訪問看護・ショートステイの別々の事業所で組もうとすると、契約と連絡先が4〜5か所になり、急な変更に対応しにくくなります。1つの事業所で完結することが、看多機の使いやすさです。

06受け入れ先の探し方

Med-Tasuki(メドタスキ)では、訪問看護ステーション・介護施設・居宅介護支援事業所を地域ごとに探せます。看多機は訪問看護ステーションが母体のことが多いので、訪問看護の一覧から探すのも1つの方法です。医療機関・介護事業所の方は、一括依頼で近くの事業所にまとめて相談できます。

参考にした情報

監修者のプロフィール

前川 裕貴(脳神経内科専門医・頭痛専門医)
前川 裕貴

Maekawa Hirotaka

脳神経内科専門医・頭痛専門医

地域医療連携サービス「Med-Tasuki」開発者

日本内科学会 内科専門医日本神経学会 神経内科専門医日本頭痛学会 頭痛専門医難病指定医

脳神経内科専門医・頭痛専門医。東京大学医学部附属病院 脳神経内科で診療に従事したのち、訪問診療を行う荏原ホームケアクリニックで頭痛センター長を務める。在宅医療の現場で、患者さんの受け入れ先を探す連絡が今も電話とFAXに頼っていることに課題を感じ、施設どうしがつながる地域医療連携サービス「Med-Tasuki(メドタスキ)」を自ら開発した。

2012〜2018年順天堂大学 医学部 医学科
2018〜2020年東京逓信病院 初期臨床研修
2020〜2023年東京大学医学部附属病院 脳神経内科 特任臨床医
2023年〜埼玉精神神経センター 頭痛専門外来
荏原ホームケアクリニック 頭痛センター長
昭和医科大学 脳神経内科 客員講師
2025年〜株式会社Iris Wellness設立

在宅医療は、ひとつの施設だけでは完結しません。顔の見える連携を、もっと速く、もっと気軽に。現場の「困った」を減らすために、医師として、開発者として取り組んでいます。

Med-Tasukiを開発した理由を読む

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監修:前川 裕貴(脳神経内科専門医・頭痛専門医)/この記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療を行うものではありません。受け入れの状況や費用は各施設に、治療の判断は主治医にご相談ください。