在宅の医療処置とケア

尿道カテーテル・ストーマの在宅管理と物品の入手

公開|内容の確認:

対象:ケアマネジャー・訪問看護師・訪問介護の方、ご家族

前川 裕貴(脳神経内科専門医・頭痛専門医)

この記事の監修

前川 裕貴

脳神経内科専門医・頭痛専門医

荏原ホームケアクリニック 頭痛センター長

地域医療連携サービス「Med-Tasuki」開発者

日本内科学会 内科専門医日本神経学会 神経内科専門医日本頭痛学会 頭痛専門医難病指定医

Med-Tasuki(メドタスキ)は、監修者が開発した、在宅医療・介護の施設どうしが患者さんの受け入れをチャットで相談できる無料のサービスです。近くの施設へまとめて相談できる一括依頼も使えます。

ひとことで言うと

尿道カテーテルは訪問診療医または訪問看護が定期的に交換し、日々の観察と尿量の記録は訪問看護・介護職・家族で分担します。ストーマの装具は身体障害者手帳による日常生活用具の給付で入手でき、皮膚のトラブルは早めに相談します。

尿道カテーテル(バルーンカテーテル)とストーマ(人工肛門・人工膀胱)は、在宅で長く付き合うことになる処置です。交換は誰がするのか、物品はどこから来るのか、何に気をつけるのかを、在宅チームで共有しておくと日々のケアが安定します。

01尿道カテーテルの在宅管理

尿道カテーテルは、尿が自分で出せない方(前立腺肥大・神経因性膀胱・終末期など)に膀胱まで管を入れ、袋に尿をためる方法です。膀胱に直接管を入れる「膀胱ろう」の場合も、管理の考え方はほぼ同じです。

尿道カテーテルの在宅チーム
職種担うこと
訪問診療医カテーテルの交換(おおむね2〜4週間ごと。種類と状態で決める)、感染や閉塞のときの判断、抜ける可能性の評価
訪問看護交換(医師の指示で)、尿の色・量・においの観察、袋の管理、閉塞のサインの早期発見、家族・介護職への説明
訪問介護・家族袋の中の尿を捨てる、尿量の記録、管が引っ張られない位置の確認、水分をとることの声かけ
ケアマネジャー尿の袋を下げる位置(ベッド・車いす)、入浴や通所のときの扱いの調整

尿道カテーテルの観察

  • 尿が出ていない・袋にたまらない(閉塞・管の折れ)
  • 尿が濁る・浮遊物が増える・血が混じる
  • 発熱・悪寒・腰や下腹部の痛み(尿路感染の疑い)
  • 管の周りから尿が漏れる
  • 管が抜けた・抜けそう
  • 袋は膀胱より低い位置にあるか(逆流を防ぐ)
  • 1日の水分量と尿量

「尿が出ない」は急ぎ

カテーテルが詰まって尿が出なくなると、膀胱が張って強い痛みや発熱につながります。数時間尿がたまらない、下腹部が張って苦しそう、というときは、時間を待たず訪問看護か医師に連絡します。

前川 裕貴
医師のひとこと前川 裕貴脳神経内科専門医・頭痛専門医
カテーテルの方の発熱は尿路感染が多いのですが、抗菌薬だけでなくカテーテルの交換や水分の見直しが要ることがあります。訪問看護師さんから「最近尿が濁ってきた」「量が減っている」と早めに知らせてもらえると、熱が出る前に手を打てます。

02ストーマの在宅管理

ストーマは、大腸がんや膀胱がんの手術などで、お腹に便や尿の出口を作ったものです。出口に貼る「装具」(面板と袋)を数日ごとに交換し、皮膚を守ることが在宅管理の中心です。手術をした病院に「ストーマ外来」があり、皮膚・排泄ケアの認定看護師(WOC ナース)が相談に乗ることが多いです。

ストーマの在宅チーム
職種担うこと
病院のストーマ外来・WOC ナース装具の選定、皮膚トラブルの相談、定期の確認
訪問看護装具の交換(本人・家族ができない場合)、皮膚の観察、交換方法の指導、装具のサイズ調整
訪問診療医皮膚のただれや感染、ストーマの脱出・陥没などの判断、病院への連絡
本人・家族・訪問介護袋の中身の処理、交換(可能なら)、皮膚の状態の報告
ケアマネジャー装具の入手(日常生活用具の申請)、入浴・通所の調整
  • 装具の交換の間隔は装具の種類と皮膚の状態で決まります(数日〜1週間程度が目安)。漏れが続くときは、間隔だけでなく装具の種類やサイズの見直しが必要です。
  • 皮膚のただれ(赤み・ただれ・かゆみ)は、装具の穴の大きさが合っていない、漏れている、皮膚保護剤が合わない、などが原因です。早めにストーマ外来か訪問看護に相談します。
  • 排便のストーマでは、便の性状(水様・軟便・硬い)が装具の持ちと皮膚に影響します。食事や水分の相談もチームで行います。
  • 入浴は装具を付けたままでも、外してもできます(ストーマの種類による)。ストーマ外来の指導に従います。

03物品の入手先

カテーテル・ストーマの物品の入手先(2026年9月時点)
物品入手先費用の仕組み
尿道カテーテル本体・固定水の注射器交換する医療機関(訪問診療・訪問看護の指示元)医療保険(在宅寝たきり患者処置指導管理料などに含まれる)
採尿バッグ(蓄尿袋)・レッグバッグ医療機関が支給するものと、購入するものがある医療機関に確認
ストーマ装具(面板・袋)身体障害者手帳(ぼうこう・直腸機能障害)による日常生活用具の給付。装具の販売店から市区町村の給付(所得に応じた自己負担)。手帳を取るまでは自費
皮膚保護剤・洗浄剤販売店・薬局日常生活用具の給付に含まれるものと、自費のものがある

ストーマを造ると、永久ストーマの場合は身体障害者手帳(ぼうこう・直腸機能障害)の対象になります。手帳を取ると装具の給付が受けられるので、退院前後に申請を始めます。

2〜4週間

カテーテル交換の目安

種類と状態で医師が決める

手帳

ストーマ装具の給付

ぼうこう・直腸機能障害

別表8

留置カテーテル・人工肛門・人工膀胱

医療保険で頻回の訪問看護が可能

身体障害者手帳の申請

手帳の申請には指定医の診断書が要り、交付まで1〜2か月かかることがあります。その間の装具は自費になるので、退院前に病院の MSW に申請の流れを確かめておきます。手帳の等級や給付の内容は市区町村で異なります。

前川 裕貴
医師のひとこと前川 裕貴脳神経内科専門医・頭痛専門医
ストーマの皮膚トラブルは「我慢すればよくなる」ものではなく、装具が合っていないサインです。訪問看護師さんが写真を撮ってストーマ外来に相談する流れを作っておくと、患者さんが痛みや漏れに悩む時間を短くできます。

04よくある質問

  • カテーテルの交換は家で本当にできる?:できます。清潔な操作で行う処置で、訪問診療医または訪問看護師が自宅で交換します。交換のたびに病院に行く必要はありません。
  • カテーテルをずっと入れていて大丈夫?:長く入れていると感染や結石の危険が増えるため、医師は定期的に「まだ必要か」を見直します。自分で導尿する方法(間欠導尿)に切り替えられることもあります。
  • ストーマの装具は自費だといくら?:装具は種類によって幅があり、月に数千円から1万円台になることもあります。手帳による給付を受けると自己負担が大きく減るので、早めに申請します。
  • ストーマの方が通所や入浴サービスを使える?:使えます。事業所にストーマのことを伝え、交換や漏れたときの対応を決めておきます。
  • 独居の方でカテーテル・ストーマの管理は?:訪問看護の回数を増やし、訪問介護に尿の処理や装具の袋の処理を頼む形で成り立ちます。異常のときの連絡先を本人が分かる場所に貼ります。

05介護職に伝えておくこと

カテーテルや装具の交換は医療行為なので介護職は行いませんが、日常のケアの多くは介護職が担います。次のことを訪問看護から介護職に具体的に伝えておくと、事故が減ります。

  • 尿の袋は膀胱より低い位置に。床に直接置かない。移乗のときに管を引っ張らない
  • 袋の尿を捨てる方法と、量・色を記録する方法
  • おむつ交換のときにカテーテルの固定がずれていないかを見る
  • ストーマの袋の中身の捨て方と、漏れているときに誰に連絡するか
  • 「いつもと違う」(尿が出ない・濁る・においが強い・皮膚が赤い)を感じたら、その日のうちに訪問看護に伝える

06受け入れ先を探すときに伝えること

尿道カテーテル・ストーマの方の依頼では、カテーテルの種類と交換の頻度、ストーマの種類(便・尿)と装具の交換を誰がするか、皮膚の状態、手帳の有無を伝えます。留置カテーテル・人工肛門・人工膀胱は別表8に当てはまり、医療保険の訪問看護では週4日以上の訪問ができます。

参考にした情報

監修者のプロフィール

前川 裕貴(脳神経内科専門医・頭痛専門医)
前川 裕貴

Maekawa Hirotaka

脳神経内科専門医・頭痛専門医

地域医療連携サービス「Med-Tasuki」開発者

日本内科学会 内科専門医日本神経学会 神経内科専門医日本頭痛学会 頭痛専門医難病指定医

脳神経内科専門医・頭痛専門医。東京大学医学部附属病院 脳神経内科で診療に従事したのち、訪問診療を行う荏原ホームケアクリニックで頭痛センター長を務める。在宅医療の現場で、患者さんの受け入れ先を探す連絡が今も電話とFAXに頼っていることに課題を感じ、施設どうしがつながる地域医療連携サービス「Med-Tasuki(メドタスキ)」を自ら開発した。

2012〜2018年順天堂大学 医学部 医学科
2018〜2020年東京逓信病院 初期臨床研修
2020〜2023年東京大学医学部附属病院 脳神経内科 特任臨床医
2023年〜埼玉精神神経センター 頭痛専門外来
荏原ホームケアクリニック 頭痛センター長
昭和医科大学 脳神経内科 客員講師
2025年〜株式会社Iris Wellness設立

在宅医療は、ひとつの施設だけでは完結しません。顔の見える連携を、もっと速く、もっと気軽に。現場の「困った」を減らすために、医師として、開発者として取り組んでいます。

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監修:前川 裕貴脳神経内科専門医・頭痛専門医)/この記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療を行うものではありません。受け入れの状況や費用は各施設に、治療の判断は主治医にご相談ください。