ひとことで言うと
尿道カテーテルは訪問診療医または訪問看護が定期的に交換し、日々の観察と尿量の記録は訪問看護・介護職・家族で分担します。ストーマの装具は身体障害者手帳による日常生活用具の給付で入手でき、皮膚のトラブルは早めに相談します。
尿道カテーテル(バルーンカテーテル)とストーマ(人工肛門・人工膀胱)は、在宅で長く付き合うことになる処置です。交換は誰がするのか、物品はどこから来るのか、何に気をつけるのかを、在宅チームで共有しておくと日々のケアが安定します。
01尿道カテーテルの在宅管理
尿道カテーテルは、尿が自分で出せない方(前立腺肥大・神経因性膀胱・終末期など)に膀胱まで管を入れ、袋に尿をためる方法です。膀胱に直接管を入れる「膀胱ろう」の場合も、管理の考え方はほぼ同じです。
| 職種 | 担うこと |
|---|---|
| 訪問診療医 | カテーテルの交換(おおむね2〜4週間ごと。種類と状態で決める)、感染や閉塞のときの判断、抜ける可能性の評価 |
| 訪問看護 | 交換(医師の指示で)、尿の色・量・においの観察、袋の管理、閉塞のサインの早期発見、家族・介護職への説明 |
| 訪問介護・家族 | 袋の中の尿を捨てる、尿量の記録、管が引っ張られない位置の確認、水分をとることの声かけ |
| ケアマネジャー | 尿の袋を下げる位置(ベッド・車いす)、入浴や通所のときの扱いの調整 |
尿道カテーテルの観察
- 尿が出ていない・袋にたまらない(閉塞・管の折れ)
- 尿が濁る・浮遊物が増える・血が混じる
- 発熱・悪寒・腰や下腹部の痛み(尿路感染の疑い)
- 管の周りから尿が漏れる
- 管が抜けた・抜けそう
- 袋は膀胱より低い位置にあるか(逆流を防ぐ)
- 1日の水分量と尿量
「尿が出ない」は急ぎ
カテーテルが詰まって尿が出なくなると、膀胱が張って強い痛みや発熱につながります。数時間尿がたまらない、下腹部が張って苦しそう、というときは、時間を待たず訪問看護か医師に連絡します。

カテーテルの方の発熱は尿路感染が多いのですが、抗菌薬だけでなくカテーテルの交換や水分の見直しが要ることがあります。訪問看護師さんから「最近尿が濁ってきた」「量が減っている」と早めに知らせてもらえると、熱が出る前に手を打てます。
02ストーマの在宅管理
ストーマは、大腸がんや膀胱がんの手術などで、お腹に便や尿の出口を作ったものです。出口に貼る「装具」(面板と袋)を数日ごとに交換し、皮膚を守ることが在宅管理の中心です。手術をした病院に「ストーマ外来」があり、皮膚・排泄ケアの認定看護師(WOC ナース)が相談に乗ることが多いです。
| 職種 | 担うこと |
|---|---|
| 病院のストーマ外来・WOC ナース | 装具の選定、皮膚トラブルの相談、定期の確認 |
| 訪問看護 | 装具の交換(本人・家族ができない場合)、皮膚の観察、交換方法の指導、装具のサイズ調整 |
| 訪問診療医 | 皮膚のただれや感染、ストーマの脱出・陥没などの判断、病院への連絡 |
| 本人・家族・訪問介護 | 袋の中身の処理、交換(可能なら)、皮膚の状態の報告 |
| ケアマネジャー | 装具の入手(日常生活用具の申請)、入浴・通所の調整 |
- 装具の交換の間隔は装具の種類と皮膚の状態で決まります(数日〜1週間程度が目安)。漏れが続くときは、間隔だけでなく装具の種類やサイズの見直しが必要です。
- 皮膚のただれ(赤み・ただれ・かゆみ)は、装具の穴の大きさが合っていない、漏れている、皮膚保護剤が合わない、などが原因です。早めにストーマ外来か訪問看護に相談します。
- 排便のストーマでは、便の性状(水様・軟便・硬い)が装具の持ちと皮膚に影響します。食事や水分の相談もチームで行います。
- 入浴は装具を付けたままでも、外してもできます(ストーマの種類による)。ストーマ外来の指導に従います。
03物品の入手先
| 物品 | 入手先 | 費用の仕組み |
|---|---|---|
| 尿道カテーテル本体・固定水の注射器 | 交換する医療機関(訪問診療・訪問看護の指示元) | 医療保険(在宅寝たきり患者処置指導管理料などに含まれる) |
| 採尿バッグ(蓄尿袋)・レッグバッグ | 医療機関が支給するものと、購入するものがある | 医療機関に確認 |
| ストーマ装具(面板・袋) | 身体障害者手帳(ぼうこう・直腸機能障害)による日常生活用具の給付。装具の販売店から | 市区町村の給付(所得に応じた自己負担)。手帳を取るまでは自費 |
| 皮膚保護剤・洗浄剤 | 販売店・薬局 | 日常生活用具の給付に含まれるものと、自費のものがある |
ストーマを造ると、永久ストーマの場合は身体障害者手帳(ぼうこう・直腸機能障害)の対象になります。手帳を取ると装具の給付が受けられるので、退院前後に申請を始めます。
2〜4週間
カテーテル交換の目安
種類と状態で医師が決める
手帳
ストーマ装具の給付
ぼうこう・直腸機能障害
別表8
留置カテーテル・人工肛門・人工膀胱
医療保険で頻回の訪問看護が可能
身体障害者手帳の申請
手帳の申請には指定医の診断書が要り、交付まで1〜2か月かかることがあります。その間の装具は自費になるので、退院前に病院の MSW に申請の流れを確かめておきます。手帳の等級や給付の内容は市区町村で異なります。

ストーマの皮膚トラブルは「我慢すればよくなる」ものではなく、装具が合っていないサインです。訪問看護師さんが写真を撮ってストーマ外来に相談する流れを作っておくと、患者さんが痛みや漏れに悩む時間を短くできます。
04よくある質問
- カテーテルの交換は家で本当にできる?:できます。清潔な操作で行う処置で、訪問診療医または訪問看護師が自宅で交換します。交換のたびに病院に行く必要はありません。
- カテーテルをずっと入れていて大丈夫?:長く入れていると感染や結石の危険が増えるため、医師は定期的に「まだ必要か」を見直します。自分で導尿する方法(間欠導尿)に切り替えられることもあります。
- ストーマの装具は自費だといくら?:装具は種類によって幅があり、月に数千円から1万円台になることもあります。手帳による給付を受けると自己負担が大きく減るので、早めに申請します。
- ストーマの方が通所や入浴サービスを使える?:使えます。事業所にストーマのことを伝え、交換や漏れたときの対応を決めておきます。
- 独居の方でカテーテル・ストーマの管理は?:訪問看護の回数を増やし、訪問介護に尿の処理や装具の袋の処理を頼む形で成り立ちます。異常のときの連絡先を本人が分かる場所に貼ります。
05介護職に伝えておくこと
カテーテルや装具の交換は医療行為なので介護職は行いませんが、日常のケアの多くは介護職が担います。次のことを訪問看護から介護職に具体的に伝えておくと、事故が減ります。
- 尿の袋は膀胱より低い位置に。床に直接置かない。移乗のときに管を引っ張らない
- 袋の尿を捨てる方法と、量・色を記録する方法
- おむつ交換のときにカテーテルの固定がずれていないかを見る
- ストーマの袋の中身の捨て方と、漏れているときに誰に連絡するか
- 「いつもと違う」(尿が出ない・濁る・においが強い・皮膚が赤い)を感じたら、その日のうちに訪問看護に伝える
06受け入れ先を探すときに伝えること
尿道カテーテル・ストーマの方の依頼では、カテーテルの種類と交換の頻度、ストーマの種類(便・尿)と装具の交換を誰がするか、皮膚の状態、手帳の有無を伝えます。留置カテーテル・人工肛門・人工膀胱は別表8に当てはまり、医療保険の訪問看護では週4日以上の訪問ができます。
参考にした情報
監修者のプロフィール

Maekawa Hirotaka
脳神経内科専門医・頭痛専門医
地域医療連携サービス「Med-Tasuki」開発者
脳神経内科専門医・頭痛専門医。東京大学医学部附属病院 脳神経内科で診療に従事したのち、訪問診療を行う荏原ホームケアクリニックで頭痛センター長を務める。在宅医療の現場で、患者さんの受け入れ先を探す連絡が今も電話とFAXに頼っていることに課題を感じ、施設どうしがつながる地域医療連携サービス「Med-Tasuki(メドタスキ)」を自ら開発した。
Med-Tasukiを開発した理由を読む在宅医療は、ひとつの施設だけでは完結しません。顔の見える連携を、もっと速く、もっと気軽に。現場の「困った」を減らすために、医師として、開発者として取り組んでいます。